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偉大なるブラックミュージック・おすすめの名曲
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偉大なるブラックミュージック・おすすめの名曲

ブラックミュージックの偉大な功績は、ジャズやブルース、ゴスペルにソウルといった音楽ジャンルを生み出したというだけではありません。

ロックやポップスの歴史に残る名曲におけるインスピレーションの源泉でもありますし、20世紀以降の音楽ジャンルに対して最も影響力があり、それは21世紀以降も脈々と受け継がれています。

そんな偉大なるブラックミュージックのルーツを探るべく、今回は60年代から90年代までのソウル~R&B系のクラシックな名曲を中心にリサーチしています。

後半は近年の楽曲も紹介していますから、最新のヒップホップやR&Bがお好きな方も、ブラックミュージックをよく知らないという方も要チェックです!

もくじ

偉大なるブラックミュージック・おすすめの名曲

Are You That Somebody?Aaliyah

アメリカの著名な音楽サイト「Pitchfork」が2022年の9月に公開した、最新版の「1990年代のベストソング TOP250」は現代の音楽業界やカルチャーなどへの影響も踏まえた大胆なラインアップへと刷新されており、音楽ファンの間では大いに話題を集めました。

ベスト5に選ばれたのはすべて女性のアーティストであり、ブラックミュージックという今回のテーマにおいて特筆すべきは3位にラインクインしたアリーヤさんの『Are You That Somebody?』でしょう。

22歳の若さで悲劇的な事故で亡くなってしまった天才的なシンガーであり、あの宇多田ヒカルさんも憧れていたというアリーヤさんが1998年に発表したこちらの『Are You That Somebody?』はオリジナルアルバムの収録曲ではなく、映画『ドクター・ドリトル』のために書き下ろされた曲なのですね。

2000年代以降のヒットチャートを席巻する名プロデューサーのティンバランドさんが手掛け、ストリート感あふれるヒップホップのバイブスと洗練されたR&B、ポップスの要素をも見事に融合させて商業的にも大きな成功を収めました。

抑制を効かせたアリーヤさんの歌唱は、声を張り上げてソウルフルかつパワフルに歌い上げるシンガーとは全く違うものですが、だからこそこの楽曲の持つ突出したクールネスが際立ちつつ、情報量の多いトラックの中で落ち着きを払ったボーカルスタイルに多くのアーティストたちが影響を受けたのです。

20年代の今、90年代のR&Bに影響を受けた若いアーティストが多く登場していますが、すでにクラシックな輝きすら放つこの楽曲を聴くことで、現代のR&B系のシンガーたちのルーツをひもとくことができるでしょう。

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RespectAretha Franklin

「クイーンオブソウル」や「レディソウル」といった異名でも知られる、ソウルミュージックという枠内をこえてポピュラー音楽界における偉大な歌姫、アレサ・フランクリンさん。

圧倒的な歌唱力はもちろん、女性解放運動や公民権運動の象徴的な存在でもあり、決して幸福とは言えなかった波乱続きのプライベートも含めて、彼女の人生そのものが伝説であり、存在自体が音楽のみならずさまざまなカルチャーや政治などにも影響を与えています。

そんなアレサさんの代表的な楽曲である『Respect』は、まさに偉大なブラックミュージックが生み出した宝物のような大名曲!

もともとはアレサさんと同じく伝説的なソウルシンガーであり、ソングライターとしても素晴らしい楽曲を生み出しながらも若くして事故で亡くなってしまったオーティス・レディングさんが作詞と作曲を務めて自身の曲として1965年にリリースした曲なのですが、1967年にアレサさんのカバーで改めて発表されて大ヒットを記録したという経緯があるのですね。

さまざまな記録を打ち立てた『Respect』は単なるヒット曲というだけではなく、アレサさんが女性目線の楽曲へとアレンジを加えたことから公民権運動やフェミニスト運動などのアンセムとなり、世界中の女性たちに勇気と希望を与え続けています。

ジェニファー・ハドソンさんが主演を務め、2021年に公開されたアレサさんの伝記映画『リスペクト』はもちろんこの楽曲から取られており、劇中でこの曲を歌うジェニファーさんの熱唱も必見ですよ!

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The First Time Ever I Saw Your FaceRoberta Flack

1969年のデビュー以来、長きに渡って女性ソウル~R&Bシンガーの代表的な存在として活躍を続けているロバータ・フラックさん。

「ネスカフェ エクセラ」のCMソングとしてもおなじみの、渡辺美里さんが歌う『やさしく歌って〜Killing me softly with his song〜』の原曲を最初にヒットさせたことでも知られていますね。

そんなロバータ・フラックさんのもう一つの代表曲でもある『The First Time Ever I Saw Your Face』は、日本では『愛は面影の中に』という邦題としても知られている大ヒット曲です。

多くのアーティストがカバーしているスタンダードナンバーで、最近では先鋭的なシンガーソングライターのジェイムス・ブレイクさんが取り上げたことも記憶に新しいですが、もともとはイギリスのシンガーソングライターであるイーワン・マッコールさんが1957年に書かれた楽曲なのですね。

いくつかのフォーク系のグループがカバーした後で、ロバータさんは1969年に自身のデビューアルバム『First Take』でこの曲を取り上げています。

2年後の1971年にクリント・イーストウッドさんの初監督作品『恐怖のメロディ』に起用され、翌年にはシングルとして改めてリリースして大ヒットを記録しました。

第15回グラミー賞において最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞をダブル受賞するなど高い評価を受けたことも踏まえて、楽曲の良さはもちろんロバータさんのバージョンがいかに優れているのかが分かるというものですよね。

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Say My NameDestiny’s Child

2010年代半ば辺りから2020年代以降のR&Bシーンを熱心に追っている方であれば、1990年代のR&Bにヒントを得た若いアーティストたちが多く登場していることに気付かれていることでしょう。

90年代にリアルタイムで聴いていた方には懐かしく、若い音楽ファンにとっては新鮮にも感じられる90年代のR&Bは今後もますます再発見が進みそうですよね。

今回紹介している『Say My Name』は、あのビヨンセさんが在籍していたグループ「デスティニーズ・チャイルド」の大ヒット曲で、1999年にリリースされて世界的な特大ヒットを記録したセカンドアルバム『The Writing’s on the Wall』に収録された名曲です。

実は最初にマキシシングルとしてリリースされたのが日本ということもあって、よく覚えているという方も多いのではないでしょうか。

この楽曲はなんといってもビヨンセさんのリズミカルでラップ風の独創的な歌唱が後続のアーティストたちに多大なる影響を及ぼしており、現代R&Bシーンにおける人気アーティストのサマー・ウォーカーさんが自身の楽曲『Playing Games』にて引用するなど、そのレガシーはリリースから20年以上が過ぎた今も色あせぬ輝きを放ち続けているのですね。

ソロアーティストに転じてからのビヨンセさんしか知らない、という方はぜひデスティニーズ・チャイルドもチェックしてみてくださいね!

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Papa Was A Rolling StoneThe Temptations

ブラックミュージックの歴史を語る上では欠かすことのできない名門レーベル「モータウン」を代表するコーラスグループの一つであり、1960年代のデビューから2020年代の現在にいたるまで活動を続けているのがテンプテーションズです。

今やオリジナルメンバーはオーティス・ウィリアムスさんだけとなってしまいましたが、メンバーチェンジを繰り返しながらもさまざまな時代においてヒット曲を発表しているというのは本当にすごいですよね。

本稿で取り上げている『Papa Was A Rolling Stone』は1972年にアンディスピューテッド・トゥルースというグループが発表したものが初出なのですが、同年の9月にテンプテーションズが改めてカバーしてシングルとして発表、全米チャート1位をマークして大ヒットを記録しただけでなく、グラミー賞受賞という栄誉も勝ち取ったという経緯があるのですね。

この楽曲のすごさは、名プロデューサーにしてソングライター、ノーマン・ホィットフィールドさんの存在が重要な位置を占めています。

1966年から1974年までのテンプテーションズの作品はすべてホィットフィールドさんとタッグを組んで生み出されたものなのですが、ホィットフィールドさんは従来のモータウンサウンドにサイケデリックロックなどの要素を大々的に持ち込み、独自のサウンドを作り上げました。

両者のコラボレーションによる最良の結果の一つが、こちらの『Papa Was a Rollin’ Stone』なのです。

残念ながら、ボーカルグループでありながら楽器主体のサウンドを重視したホィットフィールドさんの姿勢は両者の決裂を生んでしまいましたが、恐ろしくディープかつクールなこの楽曲の先鋭性は、むしろ若い音楽ファンにこそ再発掘されるべきものと言えそうです。

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Everyday PeopleSly and the Family Stone

強烈なカリスマ性と才能を持つ破天荒なフロントマン、スライ・ストーンさん率いるスライ&ザ・ファミリー・ストーンもまた、ブラックミュージックの歴史を語る上では外せないグループの一つです。

男女混合で黒人も白人もメンバーとして在籍していたという当時としては異色の存在であり、ソウルミュージックだけではなくロックなど多くのジャンルにも影響を与えた作品を数多く発表した彼らですが、本稿で取り上げている『Everyday People』はバンドにとって通算5枚目となるシングルで、初期の彼らを代表するヒット曲です。

1968年にリリースされたこちらの『Everyday People』は、シンプルで分かりやすいメロディとストレートに平和や平等といった普遍的な価値観の大切さを歌ったメッセージが心に響く名曲であり、1960年代後半に巻き起こったいわゆるカウンターカルチャームーブメントのアンセムとなった楽曲でもあるのですね。

モハメド・アリさんのインタビュー時に発言した言葉を引用した歌詞や、ベースのスラップ奏法を用いてレコーディングされた最初期の楽曲といったように、この楽曲はその背景を知れば知るほど興味深い事柄が出てくるというのも特徴と言えそうです。

多くのアーティストたちが好んでカバーとして取り上げている名曲でもありますから、カバーバージョンとオリジナルを聴き比べてみるのも楽しそうですね!

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