【洋楽】ヒップホップ史に残る名盤!押さえておきたい基本の1枚
ヒップホップの歴史は長く、その影響力は他のジャンルはもちろんカルチャーやファッションにいたるまで及ぶものです。
ここ日本でも、素晴らしいアーティストが商業的に成功を収めている実績も多く見られますが、まだまだある種のイメージで敬遠している方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、今や海外においてはポピュラー音楽の中心といっても過言ではないヒップホップの、その時代時代におけるエポックメイキング的な作品を中心とした名盤を集めてみました。
進化し続けるヒップホップという音楽を、この機会にぜひ味わってみてください!
もくじ
- 【洋楽】ヒップホップ史に残る名盤!押さえておきたい基本の1枚
- Stan (ft. Dido)Eminem
- HypnotizeThe Notorious B.I.G.
- AlrightKendrick Lamar
- Me, Myself And IDe La Soul
- N.Y. State of MindNas
- Life Goes On2Pac
- C.R.E.A.MWu-Tang Clan
- Walk This WayRUN-DMC
- Bring The NoisePublic Enemy
- Straight Outta ComptonN.W.A
- Don’t Sweat The TechniqueEric B. & Rakim
- Fuck wit Dre Day (And Everybody’s Celebratin’)Dr. Dre
- YonkersTyler, The Creator
- In Da Club50 Cent
- Jazz (We’ve Got) Buggin’ OutA Tribe Called Quest
- No Sleep Till BrooklynBeastie Boys
- All Falls Down ft. Syleena JohnsonKanye West
- RosesOutKast
- Dirt Off Your ShoulderJay Z
- Ready or NotThe Fugees
- Champion SoundJaylib
- AmeriKKKa’s Most WantedIce Cube
- They Reminisce Over You (T.R.O.Y.)Pete Rock & CL Smooth
- Life Is Good (The New Track/Video)Mos Def
- Doo-Wop (That Thing)Lauryn Hill
- Make MyThe Roots
- GoblinTyler, The Creator
- All Of The Lights ft. Rihanna, Kid CudiKanye West
- In Search OfN.E.R.D
- Ghetto Gospel2Pac
- Mama Said Knock You OutLL Cool J
- Ride Wit Me ft. St. LunaticsNelly
- Work It Out ft. Dave Matthews BandJurassic 5
- Apocalypse 91…The Enemy Strikes BlackPublic Enemy
- Take Care ft. RihannaDrake
- Respiration ft. CommonBlackstar
- Without MeEminem
- Food & LiquorLupe Fiasco
- Blue SkyCommon
- AntidoteTravis Scott
- Anarchy ALbumBusta Rhymes
- Dry your eyesThe Streets
- Speakerboxxx / The Love BelowOutKast
- The Audience’s ListeningCut Chemist
- 5 minutes (ft. Procussions)The Sound Providers
- Wu-Tang ClanWu-Tang Clan
- La La LaJay Dee
- Lose YourselfEminem
- U Can’t Touch ThisMC Hammer
- Get Rich or Die Tryin’50 Cent
- EardrumTalib Kweli
【洋楽】ヒップホップ史に残る名盤!押さえておきたい基本の1枚
Stan (ft. Dido)Eminem
ヒップホップの枠内をこえて、2000年代以降の音楽シーンにおける最強のスター、最も売れたアーティスト、最も売れたラッパーとして2020年代の今も強烈な存在感と影響力を誇るエミネムさん。
俳優としても活躍しており、2002年に公開された半自伝的な主演作の『8 Mile』を見て、ラッパーを志したという方は多いのではないでしょうか。
ロック畑の音楽ファンも、エミネムさんをきっかけとしてヒップホップを聴き始めたという方、私の世代では多いように感じます。
そんな多方面に影響を与え続けるエミネムさんが2000年にリリースしたメジャー第2弾となった『The Marshall Mathers LP』は、発売後1週間で179万枚を売り上げるなど驚異的な記録を持つエミネムさんの代表作にして、ヒップホップ史上最も売れたアルバムです。
前作のように「Slim Shady」という別人格をタイトルに冠していたのとは真逆で、本名をタイトルとした本作に込められた徹底した怒り、侮蔑的な表現、ポップカルチャーへの揶揄や自己批判はリリースから20年以上が過ぎた今も強烈すぎるインパクトを放ち、アメリカの闇を時にシリアスに、時にユーモラスにラップするエミネムさんの卓越したスキルとストーリーテラーとしての才能は、超名曲『Stan』で頂点を迎えます。
ロックやポップ好きの方にも、一度は聴いてほしい傑作です!
(KOH-1)
HypnotizeThe Notorious B.I.G.
1,000万枚という破格のセールスを記録、ヒップホップ史上において3番目に高い売り上げを誇るアルバムが、ノトーリアス・B.I.G.さんが1997年にリリースしたセカンド・アルバム『Life After Death』です。
前作『Ready To Die』の成功でラッパーとして大成したノトーリアス・B.I.G.こと愛称ビギーさんが、これからの人生を見すえて名付けられたというアルバム・タイトルとは裏腹に、ビギーさんはアルバムのリリース前にいまだ未解決の事件に巻き込まれて亡くなってしまったのですね。
当時のヒップホップにおける東西抗争など、そういった事情も含めて作品のセールスを後押しした面もあるかもしれませんが、ダブル・アルバムで全29曲という大作である本作の価値はそのようなゴシップ的な話題とはかけ離れたものです。
映画のようなMVが話題を呼んだ『Hypnotize』や、同じく特大ヒットを飛ばした『Mo Money Mo Problems』をはじめとして、ずらりと並ぶヒップホップ・クラシックの数々は、ビギーさんの圧倒的な存在感とスキルを余すところなく発揮した楽曲ばかり。
ビギーさんのフロウは重厚ながらも聴きやすく、ヒップホップ初心者にもすんなり耳に入るものではないでしょうか。
ぜひ自伝的な歌詞の意味や、楽曲の引用元などを調べる楽しみも見つけてみてください!
(KOH-1)
AlrightKendrick Lamar
2010年代以降のヒップホップ・シーンにおいて、最も重要な存在の1人といえば間違いなくケンドリック・ラマーさんでしょう。
1987年生まれ、カリフォルニアはコンプトン出身のケンドリックさんはその圧倒的なラップのスキルと音楽センス、アメリカの現実を的確に描写するリリックが高く評価され、西海岸出身の大物ラッパーたちから「西海岸の新王者」と呼ばれながらも、自身はギャングスタ的な世界とはまるで無縁の存在、という絶妙な立ち位置でその一挙一動が注目されるアーティストである、というのは誰もが認める事実でしょう。
作品の芸術的価値と商業性を見事に両立させ続けるケンドリックさんが2015年にリリースしたメジャー第二弾アルバム『To Pimp a Butterfly』は、2010年代のヒップホップ界における最重要作品というだけでなく、ジャンルをこえたポピュラーミュージック史における金字塔としてその名を残す傑作です。
生楽器の多用によるジャジーでソウルフルなグルーブ、見事なプロダクションから生まれた楽曲の中で的確に配置された豪華なゲスト・ミュージシャンたちの名演、多彩なフロウで魅せるケンドリックさんのボーカルから繰り出される素晴らしいリリックの数々……全16曲、78分をこえる大作であり、グラミー史上2番目に多い11部門にノミネート、5部門を受賞という栄誉も当然といえる内容となっております。
(KOH-1)
Me, Myself And IDe La Soul
キャラ立ちしたトリオのジャケットだけを眺めても、なんだか陽気な雰囲気が感じられますよね。
ニューヨークはロングアイランドにて1987年に結成されたデ・ラ・ソウルは、長きに渡り2MC+1DJという不動のメンバーで活躍する人気ヒップホップ・トリオです。
2006年には英国のバーチャル・バンドのゴリラズと共演した楽曲『Feel Good Inc.』でグラミー賞を受賞するなど、その人気はヒップホップ・ファンのみならずロック好きにも広がっています。
そんなの記念すべきでデビュー・アルバム『3 Feet High and Rising』は1989年にリリースされ、ハードコアな世界観のヒップホップとは一線を画す、ロックやポップス、ジャズにソウルやファンクといった多彩な音楽をミックス、巧みなサンプリングで鮮やかな世界を作り上げた傑作!
後のジャズ・ヒップホップやオルタナティブ・ヒップホップにも影響を与えたと言われており、色あせない珠玉の楽曲群は多くの音楽ファンにアピールできる魅力を持っています。
残念ながら、当時のリリース元のレーベルとサンプリングの権利関係で揉めており、現時点でいまだにデジタル配信が解禁されてない作品なのですが、デジタル音源の配信を待たずとも、CDやレコードでぜひ手に入れることをオススメします。
(KOH-1)
N.Y. State of MindNas
ヒップホップと聞いて、なんとなくマッチョで悪そうなイメージだけを持たれている方は2020年代の今も多いかもしれません。
ストリートの現実や自身のハードな人生、社会的なメッセージなどを独創的な詩情を兼ね備えたリリックでラップする「神の子」ことナズさんの大傑作ファースト・アルバム『Illmatic』を聴けば、そのイメージはきっと変わるはず。
幼少期のナズさん本人の写真が使われたアートワークも印象的な本作は1994年にリリースされ、当時は西海岸のGファンク勢の盛り上がりに押されていたヒップホップ界において、ニューヨークから現れた若き天才的なMCの誕生はシーンに大きな衝撃を与えました。
当時20歳そこそこ、という年齢とは思えないほどの落ち着きと洞察力は、ナズさんの突出した才能を物がるものでしょう。
DJプレミアさん、ピート・ロックさん、ラージ・プロフェッサーさんというレジェンド級のプロデューサーが参加したことでも知られていますが、ラップの客演は1人だけで基本的にはナズさんのラップだけで構成されている、というのも重要な点ですね。
本作に影響を受けたと語るラッパーは多く、アルバムを題材としたドキュメンタリー映画が2014年に公開され、2017年にはハーバード大学の図書庫に永遠に保管されることが決定されるなど、その影響力は多岐に渡ります。
(KOH-1)
Life Goes On2Pac
ヒップホップ史における最も有名なレジェンドの1人であり、25歳という若さで最期を迎えた2パックさん。
カリフォルニアを拠点として活動していた2パックさんと、ニューヨーク出身で同じく若くして亡くなったノトーリアスB.I.G.さんとの確執、東西のラッパーによる抗争はヒップホップ史上の悲劇的な出来事であり、歴史的な事件として記憶され続けています。
その人生自体が90年代ヒップホップの歴史そのもの、といった2パックさんの生前最後のアルバムにして代表作『All Eyez On Me』は1996年3月にリリースされ、特大ヒットを記録した説明不要のヒップホップ・クラシックです。
伝説的なプロデューサー、ドクター・ドレーさんがプロデュースした先行シングル『California Love』、兄弟デュオのケーシー&ジョジョを迎えた『How Do U Want It』といった全米チャート1位に輝いた名曲を筆頭に、これを聴かずしてヒップホップは語れないと言わんばかりの楽曲が揃ったダブル・アルバムの大作となっており、まさにマスターピースの名にふさわしい作品だと言えるでしょう。
その破滅的なライフ・スタイルは今や神格化され、ロック・スターやポップ・スターとして同列に語られる2パックさんの人となりを知りたい方は、2017年に公開されたアルバムと同名の伝記映画をご覧になってみてはいかがでしょうか。
(KOH-1)